遺伝子組み換え食品の真実!メリット・デメリットを解説します

遺伝子組み換えと聞くと、あまり良いイメージを持たない方が多いのではないでしょうか。

国はもちろん安全性を確認したから、遺伝子組み換え食品の販売を許可しているのですが、果たして本当に安全といえるのでしょうか。

販売する企業は動物実験をもとにその安全性を主張していますが、その動物実験も安全性については十分であるとはいえないという指摘もあります。

この記事では、遺伝子組み換えのメリット・デメリットや安全性について、詳しく解説します。

目次

遺伝子組み換え技術とは?

遺伝子組み換え技術とは、生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質を持たせることをいいます。

例えば、害虫に有効な毒素をもった微生物の遺伝子を抽出して、それを野菜などの遺伝子に埋め込むことで虫に強い作物を作り出したり、除草剤に強い遺伝子を他の野菜に埋め込んで、除草剤を巻いても枯れないようにしたりもできます。

このように生産者や消費者の求める性質を効率よくもたせることができるので、一見メリットばかりのように思えますが、本当に良いことばかりでしょうか。

まずは、遺伝子組み換え技術とはどのようなものか、詳しく解説します。

品種改良との違いは?

昔から行われている品種改良と遺伝子組み換えは、どちらも意図的に遺伝子の組み換えを行い、その作物に優れた性質を持たせるという点では同じと考えられます。

しかし品種改良では、人間が直接、遺伝子に手を加えるのではなく、異なる2つの品種を交配させて、その子孫から目的に合った品種を選び、それを繰り返すことによって新しい性質を持った品種が生まれていきます。

そのため、品種改良は目的の品種ができるまで何度も交配を繰り返すので、長い年月がかかります。

それに対し遺伝子組み換え技術は、目的の機能を持つ遺伝子だけを取り出して埋め込むため、より短期間で目的の品種を作り出すことが可能なのです。

遺伝子組み換え食品の種類

日本で安全性が確認され、販売・流通が認められているのは、9作物(169品種)です。

名称性質
大豆特定の除草剤で枯れない
特定の成分(オレイン酸など)を多く含む
じゃがいも害虫に強い
ウィルス病に強い
なたね特定の除草剤で枯れない
とうもろこし害虫に強い
特定の除草剤で枯れない
わた害虫に強い
特定の除草剤で枯れない
てんさい(砂糖大根)特定の除草剤で枯れない
アルファルファ特定の除草剤で枯れない
パパイヤウィルス病に強い
からしな

日本で遺伝子組み換え食品を利用するためには、「食品」としての安全性を確保するために「食品衛生法」「食品安全基本法」、「飼料」としての安全性を確保するために「飼料安全法」「食品安全基本法」、生物多様性への影響がないように「カルタヘナ法」に基づき、それぞれ評価を行い、問題ないことを確認してから栽培や流通をすることができます。

上記の遺伝子組み換え食品は、「遺伝子組換え表示制度」により、表示ルールが定められています。

遺伝子組換え表示制度

遺伝子組み換え表示制度には、義務表示制度任意表示制度があります。

それぞれどのような制度なのかをみてみましょう。

義務表示制度とは

義務表示の対象となっている作物と加工品は、現在日本で流通している9つの作物とそれらを原材料にした加工品33品目です。

大豆豆腐・油揚げ・納豆・豆乳・味噌・缶詰・きなこ・大豆を主な原材料とするもの・枝豆と大豆もやしを主な原材料とするもの等
とうもろこしコーンスナック・コーンスターチ・ポップコーン・冷凍とうもろこし・缶詰・コーンフラワーを原材料とするもの・調理用とうもろこしを原材料とするもの等
ばれいしょポテトスナック菓子・乾燥ばれいしょ・冷凍ばれいしょ・調理用ばれいしょを原材料とするもの等
なたね
綿実
アルファルファアルファルファを主な原材料とするもの
てんさい調理用てんさいを主な原材料とするもの
パパイヤパパイヤを主な原材料とするもの
からしな

義務表示の表示方法

分別生産流通管理をして遺伝子組み換え農産物を区別している場合及びそれを加工食品の原材料とした場合

分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え農産物である旨を表示

例)大豆(遺伝子組換え)

分別生産流通管理をせず、遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物を区別していない場合及びそれを加工食品の原材料とした場合

分別生産流通管理をしたが、遺伝子組換え農産物の糸せざる混入が5%を超えていた場合及びそれを加工食品の原材料とした場合

遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物が分別されていない旨を表示

例)大豆及びとうもろこしに限る

義務表示の問題点

しかし、上記の9つの作物を原料に使用している加工食品のうち、大豆油やしょうゆなど組み換えられた遺伝子や、これによって作られたたんぱく質が加工後に検出できない加工食品は、表示義務がありません。

また表示義務のある加工食品についても、遺伝子組み換え作物が主な原材料でない場合については表示する必要はありません。主な原材料とは、原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位までのもので、かつ、原材料及び添加物の重量に占める割合が5%以上のものをいいます。

いむきち

つまり、原材料の上位4位以下のものや、重量に占める割合が5%未満の場合は、表示しなくても良いということですよね?
遺伝子組み換え食品を避けていても、知らないうちに
食べていることになりますよね・・・。

任意表示制度とは

一方、任意表示制度とは義務表示対象品目以外の食品について、消費者に正しく情報が伝わるように表示することができる制度です。

この任意表示制度ですが、「不分別」(遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物が分別されていない)などの表記がわかりにくいとの声もあり、消費者庁が2023年4月から改正されました。

任意表示制度の2023年4月からの改正点

分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品

<改正前>

「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」等の表示が可能

<改正後>

①適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能

例)「原材料に使用しているとうもろこしは、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています」

  「大豆(分別生産流通管理済み)」

  「大豆(遺伝子組換え混入防止管理済み)」等

②「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」等の表示が可能

使用した原材料に応じて2つの表現に分けることにより、消費者の誤認防止や消費者の選択の機会の拡大につながります。

消費者庁

遺伝子組換え技術のメリット

①病気や除草剤に強い作物を作ることができて生産者の手間や経費が減る

作物に病気が発生すると、どんどん病気が広まってしまうので、病気の予防や病気発生後の対処がとても大切ですが、それには人間の手間と農薬を買うお金がかかります。

雑草も、人間が手作業で抜くよりも除草剤をまいたほうが手間もかからず、人件費が大幅に削減できます。

そのため、遺伝子組換え技術を使って病気や除草剤に強い作物を作ったほうが、生産者にとってメリットになります。

②収穫量が増える

病気や除草剤に強い作物を作ることで、単位面積当たりの収穫量が増えるので、日本の食糧問題の改善に寄与することにもなります。

遺伝子組換え技術のデメリット

①環境に与える影響

除草剤に強い作物の遺伝子を組み込んだ作物の花粉などが、雑草に組み込まれてしまったり、遺伝子組換え作物を育てていない農場に、近隣から遺伝子組換え作物の花粉が飛散して受粉してしまうなどの可能性があります。

遺伝子を組み換えることで、もともと自然界にいなかった植物を生み出すことになり、それが自然界の生態系や環境を壊してしまうことにつながることが懸念されます。

②人体への影響

日本では、遺伝子組換え作物について、アレルギーを引き起こす可能性、長期間食べることによって体に悪影響を及ぼす可能性、発がん性などについて検証し、安全性を確認したうえで栽培しているので問題ないといっていますが、動物実験では人への安全性はまだ明確に判断できているとはいえません。

まとめ

遺伝子組換え技術の安全性の検証ついては、まだ充分とはいえないことがおわかりいただけましたか?

表示方法は消費者にとってわかりやすく、正しい知識をもって選択できるように改正されてきましたが、意図せず遺伝子組換え食品を口にしているという現実もおわかりいただけたと思います。

人体や環境への影響において、数十年後にはどのような影響が出ているのか、まだ未来はわかりません。

大切な家族や自分を守るために、正しい知識をもって食品を選び、安心・安全な食生活を送りたいですね。

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